競馬を知らない人たちはいないと思います。
しかし、競走馬として活躍した馬たちが引退後にどこへ行くのかは知っていますか?
今回の記事で取り上げるのは、引退後の競走馬の「その後の人生」です。
JRAの公式ホームページによると、「引退後の馬は乗馬クラブなどへ引き取られる」との旨の記載があります。
しかし、実際は引き取られた後にどなったかは知る由もありません。
競走馬を引退後は、寿命の長い馬だと30年近くも生きたりします。
残念ながら現在の日本には引退後の競走馬たちの環境をサポートする仕組みが整っていません。
かつては活躍してい馬も今、どこで何をしているのか分からない競走馬多数存在しているのです。
目次
かつて活躍した競走馬も
競走馬となるべくして、生まれてくるサラブレット達は毎年7,000頭近く生まれ、調教や練習などの励んでいます。
しかし、その一方で競走馬になったものの、レース中の事故や怪我などによって年齢に関係なく引退を余儀なくされる馬は年間5,000頭にものぼります。
毎年生まれる競走馬のうち5,000頭はいったいどこへ行ってしまったのでしょうか。
競走馬の「引退」という言葉を聞くと、年齢的にレースに出場するのが厳しくなってきたのではないかと想像するかもしれません。
しかし、競走馬として生まれてきたものの、サラブレットとして生まれてきたものの元々レースに向いていなかったり、事故や怪我をきっかけとしてレースで良い成績を残せなくなり維持ができなくってしまい引退するケースがほとんどです。
競走馬として、これから活躍するであろう「3歳」や「4歳」で怪我をしてしまい引退を余儀なくされてしまう競走馬もいます。
5,000頭の競走馬は引退後にどこへ
年間7,000頭ほど生まれるサラブレッドのうち、年間5,000頭もの競走馬が引退していまっているのが現実と紹介しました。
実は、この引退した5,000頭もの競走馬の行き先がほとんどないのが現状です。
JRAの公式ホームページによると、「引退後の競走馬は乗馬クラブへ渡る」とあります。
毎年、競走馬として引退してしまった5,000頭もの引退した馬たちは一度は乗馬クラブへ渡っていくでしょう。
しかし、乗馬クラブへ行った後には、多くの命が、人知れず失われているという現実があります。
乗馬クラブへ渡ったものの維持ができなくなり、人知れず殺され、食用の「馬肉」として出荷されている可能性もあるのです。
全国乗馬倶楽部振興協会に登録されている乗馬クラブは、日本全国に約274ヶ所あります。
しかし、274ヶ所しかない事を考えると毎年5,000頭もの競走馬を受け入れるには無理があるでしょう。
もし、毎年引退した5,000頭もの競走馬を、これらの乗馬クラブで引き取るとしたら毎年20頭近くもの馬を引き受けなければなりません。
圧倒的に乗馬クラブの受け口が足りませんね。
また、競走馬として生まれてきた馬は、レースで少しでも速く走れるように生まれて来た時から調教されています。
「速く走る」という事が習慣づけされた競走馬たちは引退後に乗馬クラブへ行っても、競走馬の「速く走る」という週間が抜けず、元々乗馬クラブにいた馬たちのように、ゆっくり歩いたり、走ったりする事が受け付けられない事もあります。
競馬関係のホームページなどには「○○は引退後○○乗馬クラブへ行った」という事が書かれたりしています。
しかし、「乗馬クラブへ行った後」は行った後の様子は記載されていないでしょう。
乗馬クラブへ行った後に、乗馬クラブに在籍を続けているのか、辞めてしまったのか、行き先が不明という事は非常に多くなっています。
結局は競走馬として生まれてた馬は引退後に乗馬クラブへ行ったとしても、セカンドキャリアを積むことができないのです。
馬自体はどれも体の大きい動物ですから、維持する為に食費などの費用がかさんでしまうでしょう。
その維持費を考えると「必要ない」とみなされて、殺処分され、馬肉として売り渡されてしまうということが実は普通に起きています。
競走馬としての役目を終えた競走馬たちの第2の道
競走馬を引退していまっても、一頭一頭の馬も生きている動物なので愛情を受け、生きていく権利があると思います。
本来であれば、優しくて、賢くて、愛情深く、強い馬たちは殺処分などをせずに、その生命を全うして、理不尽な殺処分からは守られるべきたと考えます。
競走馬の世界では何よりも「速く走る」という事が第一条件です。
そのため、走るのが早い親馬同士をかけ合わせ、足の早い遺伝子を持った馬たちを誕生させます。
しかし、両親がレースで功績を残し、足が速い馬だからといっても、生まれてくる子どもの馬が必ずしも「速い馬」になるとは限りません。
生まれてくる馬たちには、それぞれ性格の違いもあったり、能力や適性の違いもあったりします。
足があまり速くなく、競走馬に向いていない馬でも、ジャンプ力があり「障害レース」のような競技場として向いていたりする馬もいれば、何をしても動じない肝の座った馬もいたり、大人しくて人懐っこく牧場などの観光地で可愛がられるのに向いている馬もいます。
それらの、引退した競走馬たちには「乗馬クラブ」以外の道に進める可能性も秘めているのです。
競走馬が引退後、活躍していける可能性のあるセカンドキャリアを紹介していきます。
ホースセラピー馬
競走馬として「走る事」を優先してきた馬たちですが、本来は群れて生活する生き物です。
400kgを超える人よりも大きな体を持ちながらも、人間に対してとても従順で優しく愛情深い性格をしている動物です。
この、本来の馬の性格を活かし、馬と触れ合ったり、乗ることによって、心理的・身体的に癒やしを与えてくれる職業がホースセラピーです。
馬の優しく大きな瞳、温かい体温、従順な性格、馬は言葉を発する事はできませんが、馬の優しさは大きな体から滲み出ており、人を癒やしてくれます。
競走馬として活躍できなくても馬本来の特性を活かせるので、どの馬でも引退後に活躍できる可能性があるのではないでしょうか。
障害飛越競技馬
「競走馬」として活躍できなく、引退してしまった馬でも「競技馬」として活躍できる可能性もあります。
それは、「障害飛越競技」という競技で活躍する事です。
障害飛越競技とは、競技場に設置された多種多様な形を障害物を決められた順番で飛び越え走行するものです。
障害物にぶつからないようにしたり、順序を守ってゴールする事が求められる競技です。
「速く走る」事が得意でなかった競走馬でも「ジャンプが得意」だった競走馬は引退後に、この障害飛越競技の「競技馬」として活躍する馬もいます。
人間と馬のコンビネーションは、まさに人馬一体で、迫力や華麗さを楽しめるのは間違いなしです。
この競技はいかに馬を上手く操って、技術的な熟練度と華麗さがポイントとなります。
あまりメジャーなスポーツではありませんが、実は2020年に開催される東京オリンピックでは正式な競技となっています。
障害飛越競技で活躍している馬の中で、かつては「競走馬」として生まれた馬たちも混ざっているかもしれませんね。
伝統行事で活躍
日本各地には馬を使った神事や祭事などの伝統行事が数多く継承されています。
競走馬として引退後には、こうした伝統行事の馬として活躍する馬もいます。
伝統行事を通じて、日本の歴史や文化に触れてもらうことによって、昔からの人と馬との深い関わりや馬の幅広い魅力について理解を深める事にも繋がっていくでしょう。
復興支援にも役立っていた!
引退後の競走馬の中には復興支援に役立った馬も存在します。
1000年以上も続く日本の重要無形民俗文化財、相馬野馬追の総大将として出陣する第34代相馬藩主「相馬行胤」公が騎乗する御馬に吉備高原サラブリトレーニング卒業のフィールザフォースが大抜擢しました。
1年前までは「競走馬」として活躍していたサラブレッドですが、引退後にもこのような名誉のあるセカンドライフを過ごしています。
今できること
「競走馬」として生まれてきた大切な命が、引退したからといって殺処分されてしまったりと、悲しい現実になっています。
そこで、一頭でも多くの引退後の競走馬の命を救えるように、一頭でも多くの競走馬が第二の人生としてセカンドキャリアで活躍できるようにしていくにはどうすれば良いでしょうか。
私達にも簡単にできる事があるので紹介します。
チャリティグッズを買う
引退後の競走馬を支援するNPO法人などがいくつかあります。
それらの団体は、公式チャリティグッズを販売していたりします。
その販売されているチャリティグッズの売り上げの一部をリトレーニングの費用としても活用していたりもします。
売られているグッズもニット帽や手袋といった小物からポロシャツやTシャツといった衣類、トートバッグのように便利なものなど様々にあります。
これらのチャリティグッズを購入する事によって引退後の競走馬の運命が変わってくる可能性があるのであれば、購入しても良いかもしれませんね。
寄付で支援する
上記でも紹介した通り、引退後の競走馬を支援するようなNPO法人がいくつもあります。
その団体には引退後の競走馬を支援するために寄付金を募っている団体もあります。
お金に余裕がなければ寄付はできないかもしれませんが、少しでも多くの寄付金が集まり、引退後の競走馬たちが無事にセカンドライフを進んでいける事を願っています。
まとめ
この記事では競走馬の引退後はどのような人生を歩んでいるのかを紹介しました。
毎年多くの競走馬が引退に追い込まれ、殺処分という悲しい末路になっている現実が多い事が分かりました。
まだ、生きていけるのに「競走馬」として活躍できないからという人間の勝手な理由で殺傷分していまうのは非常に酷い話に思えます。
「殺処分」によって殺されてしまう様な事が多いのは現実なので、少しでもその様な子たちが減っていけば良いなと思います。
そのためにも、私たちに今できることしていくようにしてみてください。