皆さんは「ハマノパレード」という競争馬を知っていますか?
ハマノパレードとは、1973年宝塚記念を制しGⅠ優勝経験のある馬です。
ディープインパクトのように強烈な強さではなかったものの、日本の競馬史を語る上では外せない競争馬の一頭です。
今回は少し考えさせられるテーマなのですが、競走馬の馬肉について「ハマノパレード事件について」まとめたいと思います。
目次
ハマノパレード事件とは?
日本の競馬史を語るにおいて外せない事件です。
かつて、ハマノパレードという競走馬がいました。
ハマノパレードは宝塚記念を制した同年、1973年6月高松宮杯に出場しました。
レースは順調で、トップを走っていたものの、最後の直線で脚がもつれて転倒し、途中棄権途中なりした。
レース後の診断で、ハマノパレードは、脚関節の脱臼と粉砕骨折が認められ、予後不良と診断が下されました。
診断後、ハマノパレードはそのまま屠殺場に運ばれ、骨折の痛みに苦しみながら、一晩を過ごし、翌朝屠殺されました。
そして、まさかの馬肉として販売される事実がありました。
当時は、競走馬を食用にする事は禁止されていませんでした。
そしてハマノパレードは【さくら肉「本日締め400キロ」】という名目で、市場に並ぶこととなったのです。
この事件を新聞が大きく取り上げ話題にとなり、GⅠ優勝馬が屠殺されたという事実に当時の競馬ファンから強い批判がでました。
この事件をきっかけに、レースで故障した馬に対する処置として、苦しませずに速やかに楽にする【安楽死システム】が整備されることになったと言われています。
少し心の痛い事件ですが、当時は安楽死のシステムが無かった為に違反ではないものの、命のあり方を考える話ですね。
世間が強く批判した理由とは?
私たちは毎日、たくさんの畜産物を口にしています。
馬だけではなく、牛や豚、鳥などなどたくさんの命を口にしています。
そのため、何千何万という生き物の命を奪っています。
馬肉に関しても桜肉という名目で、現在も居酒屋さんなどで提供されています。
それなのに、何故ハマノパレードだけ世間は大きく騒ぎ立てたのでしょうか?
屠殺してもいい命と、そうでない命の違いは何なのでしょうか?
詳しく、ハマノパレード事件について調べて見ました。
事件が非難される理由としては、競争馬は人間の都合で育てられ調教されて、用済みになったら屠殺という流れがあまりに、人間の勝手すぎるということで批判を浴びたようでした。
確かに、食用として育てられた馬とは考え方は違いますね。
レース中の怪我による予後不良とは?
競争馬がレース中、調教中に回復が困難な怪我をした場合、「予後不良」と診断されることがあります。
この予後不良は、主に「骨折等の脚部に関する怪我」に由来することが多く、診断後、手続きを経て安楽死の措置が取られます。
「骨折ぐらいで殺してしまうなんて酷い」と思うかもしれませんが、馬にとってはとても重大な内容になります。
馬の場合、4本の脚で400kgを超える体重を支えているので、1本怪我をしてしまうと残りの3本に掛かる負荷は単純計算で1本あたり130kg以上になります。
加えてバランスも取りづらくなるので、残りの脚に掛かる負荷が大きくなり、蹄葉炎などの病気にかかってしまいます。
その後、自立出来なくなった馬はやがて衰弱死してしまいます。
つまり予後不良とは【馬をできるだけ苦しませないための措置】であり、ある種、人道的な対応と言えます。
簡単に言えば、悪化し続ける怪我の痛みと苦しみを簡単にとってあげるのは安楽死が最善だという事です。
個人的には複雑な心境
この安楽死に関しては、人間が一番に競走馬の事を考えての判断なので、馬が苦しむよりかは、良い判断だと思います。
しかし、問題は競走馬の食肉についてです。
恐らくこの時代は、ハマノパレードの末路と同じような運命を辿る競争馬が珍しくなかったのではないかと思います。
酷な話ですが、馬を育てる、馬を殺すのにもお金がかかる一方で、屠殺→食用であれば、少しでもお金が入ると考える方も居ると思います。
ハマノパレードに関して、世間を騒がせたのは、この馬の能力がすごく高く、有名だったからだと思います。
「その年のGⅠ優勝馬が、非業の最期を遂げた」という事実にスクープ性を感じたメディアがたまたま報じたからではないかと思います。
恐らく非業の最期を遂げた競争馬は、他にももっとたくさんのいたはずです。
このテーマに関しては、人間の傲慢さや動物愛護について考えさせられる一方で、「でも肉は美味しいし」と考えてしまい答えは見えてきません。
ただ私はこの事件について考えてから、小学生並みの感想ですが、ご飯を食べるときには「(生命を)いただきます」と、しっかりと重みを感じながら言おうと思いました。
しかし、馬肉を美味しいと食べるのが人間なので、賛否両論にはなってしまうでしょう。
馬肉になる馬とはどんなのか
馬肉自体はすごく美味しいと思います。
焼き肉で食べる牛肉や豚肉だって同様です。
しかし、この馬刺しになるのはどんな馬は馬肉になるのでしょうか?
実は、馬の品種も犬や猫のように、多種多様でサラブレッド以外にも色々な馬がいます。
そして「馬刺し」として主に食されるのは、サラブレッドではありません。
一体どんな種類が食用馬になるのか、見ていきましょう。
日本で飼育される馬の種類
日本で肥育されている馬の、肥育目的としては、以下のように大別することができます。
農用馬、競争馬、乗用馬、在来馬の4種類がいます。
このうち、食用目的の馬は「農用馬」に分類されています。
さらにこの農用馬の種類を分けると、体重が1トンぐらいまで大きくなる「重種馬」と、重量種に比べて体重が約半分ほどの「軽種馬」に分けることができます。
農用馬として肥育される馬の種類はいくつかありますが、ほとんどが重種馬に分類される馬です。
重量種の中でも、馬刺しを含む馬肉として加工されるのは以下の4種です。
ブルトン種、ペルシュロン種、ベルジアン種、ペルブルジャン種の4種類です。
サラブレッドは馬刺しにならない?
馬刺しの本場熊本などでは、馬刺しになるのは重種馬がほとんどです。
そのため、熊本産の馬刺しでは、サラブレッドのような軽種馬が馬刺しとして加工されることはほとんどありません。
しかし、馬刺しの名産地は熊本だけではありません。
福島県の会津も馬刺しの名産地として有名です。
この会津馬刺しは、主にサラブレッドのような軽量種を馬刺しとして加工しています。
場所によっても違いますが、馬肉にとして利用する場所もあるという事です。
軽種馬と重種馬の違い
軽種馬と重種馬では、肉質さえも異なると言われています。
軽種馬の場合、体重が軽いことから脂肪分が少な目です。
その為、サシの少ない赤身がメインの肉質となります。
また部位にもよりますが、肉自体が重種馬に比較して柔らかいという特徴があります。
一方、重種馬の場合は、サシの入りが良く日本人好みの「霜降り」のような肉質になっています。
日本の品種の競走馬
ここまで登場してきた馬の品種は、サラブレッドやペルブルジャンなど横文字の品種ばかりでした。
当然、これらは日本本来の馬ではありません。
ですが、日本にだって競走馬は存在します。
日本の在来種としては下記のような品種になります。
・北海道和種馬
・木曽馬
・野間馬
・対州馬
・御崎馬
・トカラ馬
・宮古馬
・与那国馬
しかし日本の在来種の馬は日本国内で2000頭程度しかおらず、日本国内で肥育されている馬の中でも2%程度の割合しかありません。
これらの在来種は主に「保存目的」で飼育されているため、食肉加工されることはないと考えられます。
競走馬は負けたら馬刺しになるという噂
多くの人が競走馬と聞いて、イメージする中央競馬出身の競走馬に関しては、引退後に食肉加工されてしまうという公式データはありません。
引退後は乗馬用や繁殖用となることがほとんどです。
さらに、その後についてはデータがないため何とも言えません。
「乗馬用になった馬は、一定期間を経て筋肉を落としてから食肉加工されることもある」という噂話もよく耳にします。
ただ個人的な予想としては、食肉加工されたとしても馬刺しではなく、ソーセージやドックフードなどの加工食品用として利用されることが多いのではないかと思います。
ここまでは中央競馬出身の競争馬についてですが、北海道で開催されている「ばんえい競馬」の競走馬に関しては、馬刺しになることもあります。
ばんえい競馬の競走馬は、サラブレッドのような軽種馬ではなく、重種馬です。
日本人好みの肉質であり、競走馬になるための能力試験に落ちた馬や成績の振るわなかった競走馬が、食肉加工されることは有名な話なのです。
競走馬の引退後の行き先
競走馬の行き先について調べてみると、以下のようになりました。
・薬殺(安楽死)
・屠殺(食用、飼料用)
それぞれ見ていきましょう!
薬殺
中央競馬の競争馬の場合、レースや調教で事故を起こし【予後不良】と診断された場合は、、適切な手続きの後、速やかに薬によって安楽死させられます。
上記のハマノパレード事件を受けて馬にできるだけ苦しみを与えないようにと、整備されたシステムです。
一方で安楽死については、保険会社との兼ね合いもあるようです。
過去には繁殖用の馬が体調を崩し、医師から【予後不良】と診断されたものの、保険会社に無断で安楽死させることが出来ないため、連絡がつくまでの数日間、その馬は苦しみ続けたといったこともあったそうです。
屠殺
この屠殺とは食用に殺すことです。
人用の馬肉だけではなく、動物の飼料(エサ)用のケースもあります。
馬肉は栄養学的に見てもヘルシーな食材であることから、ペットフードだけでなく、動物園の餌にされることもあります。
ただ中央競馬においては、引退後の行き先が屠殺となることはありません。
逆に北海道の地方競馬である【ばんえい競馬】では屠殺も公表しているようです
競走馬の最後は?
現在では、安楽死をさせる場合に薬を使うので、馬の体内に薬が残ることから食用にする事もなく、上記の事件からなくなりました。
その為、競走馬は再就職のように、競馬とは離れた場所にいきます。
しかし、どこにも引退後に行く場所がない馬は、結果的に安楽死になってしまいます。
ただ馬一頭を飼育するのに必要な費用は、安く見積もっても月数万円かかると言われています。
そして競争馬は毎年7000頭も誕生していると言われています。
その分だけ引退馬も出てきます。
残念なことですが、利益を生まなくなった馬をかわいそうという感情だけで、寿命が来るまで飼育するとは考えられません。
そのためほとんどの馬の最期は、【屠殺を含めた殺処分という考え方が一般的】のようです。
まとめ
今回は、競走馬のハマノパレードが食肉にさえてしまった事件について、競走馬の馬肉の関係性をまとめました。
少し残酷な話になってしまいましたが、過去に実際にあった事件です。
人間とは生物界でもピラミッドの一番上に存在しており、雑食です。
すべての命を頂いているからこそ、人間がいます。
馬肉に関しての意見は難しいですが、JRAの関係者は絶対に食べないと言いますね。
この記事を呼んで下さった方も、少し考えさせられる内容ではないでしょうか。