みなさんは競走馬の寿命はどのくらいいか知っていますか?
競馬では、だいたい7歳~8歳くらいまでしか見ないですよね。
しかし、その後も競走馬は元気に生きていきます。
競走馬には、再就職のように他の施設などで使われたり、次のサラブレッドを産む為に種付けしたり、産馬になったりと色々あります。
ではその後は何歳まで生きれるのでしょうか。
今回はその競走馬の寿命に関する疑問を書いていきます。
目次
馬の年齢は人間の4倍の速度
一般的に馬の平均寿命は20~30年とされていて、中には40歳まで長生きする馬もいるようです。
しかし、後ほど紹介しますが、競走馬の寿命はここまでは長く生きれません。
競走馬は速く走る為に、激しく調教されていますので、どうしても身体に負担が掛かってしまいます。
ずっと牧場で放牧されているような馬とは少し違います。
過去ギネスブックには62歳まで生きた馬がイギリスにいた事が掲載されています。
「馬の年齢を人間の年齢に換算すると何歳?」との疑問を持たれている方も多いかと思いますが、
馬の年齢 × 4 = 人間の年齢
という式を使うことで換算することができます。
例えば、5歳の馬を人間の年齢に換算すると20歳になり、20歳の馬を人間の年齢に換算すると80歳、という事になります。
さて、馬の平均寿命や人間の年齢への換算は分かりました。
ここでは、競走馬の寿命に関しての知識や疑問などを多く紹介していきます。
競走馬の寿命は短い?
人間でも過度なトレーニングをして体を大きくしなければいけないスポーツ選手(プロレスラー、相撲力士など)は、平均寿命よりも早く死亡するケースが見られますが、競走馬の場合でも同じような事がいえると思います。
競走馬は若い頃から心肺機能を鍛えるために厳しいトレーニングを重ねますし、競馬場でのレースでは心身をギリギリのところまで追い詰めます。
牧場でのんびりと過ごしている普通の馬よりも、日々ハードなトレーニングを重ねている競走馬の方が死亡するリスクが高いのは明らかですし、競走馬の寿命が普通の馬よりも短くなってしまうのは致し方ない事だと思います。
セン馬にすると競走寿命が延びるのは本当か?
種牡馬としての価値が重要視される日本の競馬界において、セン馬にすることをためらうオーナー、調教師は多いです。
しかし海外競馬を見てみると、オーストラリアや香港では何のためらいもなく、去勢手術を行い、セン馬にすることが多いですね。
そのため、一日でも長く競走生活を続けて多くの賞金を稼ぐことが望まれていますね。
一般的には、セン馬にするとホルモンバランスが変わり、筋肉が柔らかくなるため競走寿命が伸びると言われているが、果たしてそれは本当なのだろうか。
過去3年のデータから分析してみましょう。
まずは過去3年のセン馬と牡馬の成績について見ていこう。
セン馬の成績を見てみると勝利数は393。平地競走での勝率は5%台で、牡馬とは差があります。
そんな中で勝率、連対率、複勝率で牡馬に勝っているのが障害競走です。
平地では勝ち上がれない馬だったとしても、去勢によって気性を落ち着けることで距離が長い障害レースに活路を見いだしていると言えます。
次に年齢別の成績を調べてみました。
2~4歳くらいはさすがに牡馬に負けるが、年齢が上がるにつれて、牡馬と成績が同等、もしくは上回る率が出てくることが分かります。
長寿だった競走馬は?
普通の馬よりも寿命が短い競走馬ですが、中には平均寿命以上に長生きした競走馬もいました。
今回は、そんな長生きして頑張った競走馬たちを紹介します。
シンザン(1961年~1996年)
1964年に史上2頭目となる牡馬クラシック三冠を達成した、昭和中期のスーパースターです。
馬の平均寿命を雄に超える35歳まで長生きしました。
現役中は19戦して15勝、2着4回を記録。
生涯の2着以内率が100%という日本記録を樹立しています。
2014年8月26日にシャルロットという馬に更新されるまで、日本のサラブレッドの最長寿記録を保持していました。
メジロティターン(1978年~2009年)
1982年に天皇賞(秋)を当時のレコードタイムで優勝するなど、現役中に重賞を3勝した名ステイヤーで、31歳まで生きました。
現役引退後に種牡馬入りをしていて、代表産駒にはG1を4勝したメジロマックイーンがいます。
父・メジロアサマと子供のメジロマックイーンと合わせて、父子3代で天皇賞優勝という不滅の記録を樹立しています。
ハイセイコー(1970年~2000年)
1970年代に第一次競馬ブームを巻き起こしたアイドルホース。
30歳まで生きました。
オグリキャップと同様、デビューの地は地方競馬(大井競馬場)。
地方競馬で圧倒的なパフォーマンスを見せ、鳴り物入りで中央競馬に移籍し、皐月賞などを優勝しました。
競馬馬は何歳でデビューして何歳で引退?
競走馬は生まれてからは育成牧場で走るためのトレーニングを行い、2歳から厩舎へ入ります。
早ければ2歳の春に新馬戦でデビューをします。
一般に有力馬は秋ごろデビューし、クラシックレースを狙って出走するレースを決めていきます。
ただ、2歳時点で体が小さいとレースに出ても怪我をしてしまうため、体が出来上がるのを待って3歳からデビューする場合もあります。
また、デビュー前に故障してしまうとデビュー戦が3歳にずれこむ場合もあります。
競走馬の全盛期は何歳?
競走馬は2歳から3歳にかけて馬体が成長し、それに伴って競走能力が上がる馬が多いのですが、ピークは何歳でしょうか。2015年のデータをみてみましょう。
2015年の芝で3歳以上と4歳以上の重賞レースは68レースあります。そのうち、年齢別の勝利回数は以下のとおりです。
勝利した馬の年齢:優勝回数
3歳:5回
4歳:21回
5歳:20回
6歳:14回
7歳:8回
こうしてみると、ピークは4歳から5歳ということになります。
命を懸けて走る競走馬
競走馬の寿命が短くなる要因の1つとして挙げられるのが、レース中のアクシデントです。
レース中に脚のケガや心肺系の病気を発症し、予後不良の診断を受け、安楽死となるケースも珍しくありません。
テンポイントやライスシャワー、ホクトベガ、サイレンススズカ、といった日本競馬界を代表する名馬もレース中のアクシデントが原因となって死亡しています。
馬券の当たり外れに一喜一憂するのも競馬の醍醐味ではありますが、競馬は競走馬が無事に走り切ってこそですからね。
自身の命を懸けてレースに挑んでいる競走馬の事を思いやりながらレースの行方を見守っていただければ幸いです。
厳しい世界の競走馬は何歳で引退する?
デビューする馬は新馬戦、または、未勝利戦を突破しなければなりません。
3歳の秋までに、未勝利を勝てない馬については、地方競馬や障害レースへの転身かもしくは引退となります。
逆に活躍した馬は年齢による衰えで、成績が汚されるよりは早めに引退させて、種牡馬もしくは繁殖牝馬入りする傾向にあります。
歴代の中央競馬クラシック3冠馬の引退年齢を見てみましょう。
オルフェーブル:5歳
ディープインパクト:4歳
ナリタブライアン:4歳
シンボリルドルフ:5歳
ミスターシービー:6歳
シンザン:5歳
セントライト:3歳
活躍した馬でも去勢された馬や、血統的に期待できない馬については長く走る傾向にあります。
特にダート馬は息の長い馬が多く、ミスタートウジンが2015年時点で中央競馬では最高齢出走記録の15歳です。
ナリタブライアンと同い年で、同じ馬主のオースミレパードは2015年時点で、サラブレッド最高年齢出走記録の16歳という記録を持っています。
ディープインパクトのデビュー戦、勝利ジョッキーインタビューで武豊騎手は「無事にいってさえくれれば」というコメントをしたように、強くも脆いサラブレッドです。
ピークの4歳5歳まで走り続けただけでも、関係者にとっては喜びなのでしょう。
引退後に寿命を迎えるまではどこに行く?
競馬を知らない人はいないと思いますが、競馬で活躍した後、引退した競走馬たちがどこへ行くのか、皆さんは知っていますか?
しかし、残念ながら現在の日本には、引退後の馬たちの環境をサポートする仕組みがありません。
この国には今、どこにいるのかも分からなくなった馬が多く存在しているのです。
また、もとは競走馬として、とにかく少しでも速く走れるようにと調教された馬たちは、乗馬クラブへ行ってもその習慣が抜けません。
ポッカポッカとゆっくり歩くということを受け付けられないのです。
競馬関係のホームページなどには、「○○乗馬クラブへ行った」ということは書かれていても、その後については記載されていません。
乗馬クラブへ行った後、行き先が不明ということも大変多くなっています。
体の大きい馬は食費や維持費もかさんでしまいます。
乗馬クラブへ行っても競走馬は気性が荒いため、なかなか扱うことも難しいのが現状です。
たとえ馬に慣れていない小さな子どもが乗ったときでも、ゆったり穏やかに接することができるように、馬たちを調教し直すのがリトレーニングです。
リトレーニングの間、当然ながら飼料代をはじめ、厩舎(きゅうしゃ)管理費、ケガや病気の際の治療費、世話をするための人件費など膨大な費用がかかります。
競走馬の寿命についてのまとめ
今回は、競走馬の寿命についてまとめました。
普通の牧場にいる馬は30年近く生きるのが普通かもしれませんが、競走馬は中々そうはいかないようですね。
全体的に見ても、競走馬の調教はすごく厳しく、速く走るための指導をされています。
身体にかかる負担も違いますし、怪我をするリスクもあります。
そんな、競走馬は馬の平均寿命までに死んでしまう事が多いですしょう。
引退後もサラブレッドを産んだり、種付けしたり、色々な仕事が待っています。
すごく厳しい世界に、生まれた競走馬はすごいと思いました。